各種がん検診と各種検査のご案内

●各種がん検診
▷茨城県がん検診実施指針に基づく健診
胃がん検診 肺がん検診 乳がん検診 子宮がん検診 大腸がん検診
▷自治体依頼に基づく健診
胸部CT検診
▷その他
前立腺がん検診
●各種検査
心電図検査 骨粗しょう症検査 腹部超音波検査 肝炎ウィルス検査
肺がん検診

たばこと肺がん

たばこを吸う人の肺がん死亡率は、吸わない人より4~10倍も高いといわれています。1日に吸うたばこの本数が多ければ多いほど、また、喫煙している年数が長ければ長いほど肺がんの危険度は高くなります。

喫煙指数

「喫煙した年数」と「1日に吸うたばこの本数」をかけあわせたものです。
この数値が400~600より多ければ、肺がんの高危険群です。
<例えば下の4人の場合…>
Aさん・・・20歳から70歳までの50年間、1日10本位吸ってきた。
     喫煙指数は、50(年)×10(本)=500
Bさん・・・25歳から45歳までの20年間、1日40本位吸ってきた。
     喫煙指数は、20(年)×40(本)=800
Cさん・・・現在は吸っていないが以前25年間、1日20本位吸ってきた。
     喫煙指数は、25(年)×20(本)=500
Dさん・・・20歳から30歳まで1日20本位吸っていたが、30歳から50歳までは1日5本位に減らした。
     喫煙指数は、10(年)×20(本)+20(年)×5(本)=300
上の例のような場合には4人の内、Aさん、Bさん、Cさんの3人が肺がんの高危険群にあてはまります。

肺門部がんと肺末梢部がん

肺がんは、できる場所によって肺門部がん肺末梢部がんに分けられます。
【肺門部がん 気管支が肺の中へ枝分かれする、比較的入口に近い部分にできるがん。扁平上皮がんとよばれるがんが多く、転移が少ない。喫煙者に多い。
⇒喀痰細胞診が有効
【肺末梢部がん 気管支が細く枝分かれした先端の「肺野」と呼ばれる肺の奥にできるがん。腺がんが多く、転移を起こしやすい。
⇒胸部X線、CT検査が有効

肺がんの自覚症状

肺がんの主な自覚症状は、血痰などです。
肺門部がんは自覚症状が出やすい傾向があります。血痰が出たらすぐに精密検査を受けましょう。
肺末梢部がんは、なかなか自覚症状が現れにくいといわれています。早期発見するためには定期検診を受けることが大切です。
[胸部X線検査]

検査を受ける前の注意

衣類にボタン、金具、プラスチック、プリントのないように準備をしてください。
ボタンのない、無地のシャツが望ましいです。

写真撮影

「息を大きく吸って、とめて!」 写真を撮影します。
肺は袋状のものです。その袋を大きく膨らませることにより、肺の広い範囲が見えるようになります。

判定の出し方

下のように、今回のX線写真と前回・前々回のを比較して、”変化のあるとき”は精密検査を受けるよう通知が届きます。
しかし、まだ病気と決まったわけではありません。病院へは出来るだけ早く行って、精密検査を受けましょう。

精密検査では…

現在、専門医療機関では胸部CT検査が広く用いられており、微細な病変まで写し出すことが出来るようになりました。
[胸部CT検査(X線CT検査)とは]
肺がんは、早期発見、早期治療をすることで”治る”確率が高くなるといわれています。胸部CT検診は肺がんの早期発見が可能です。
CT検査の「CT」とは、Computed Tomographyの略で、コンピュータを駆使したデータ処理と画像再構成で断層写真を得ることの出来る装置のことです。

なぜ良く見えるの?

レモンを輪切りにしたところを想像してみてください。切り口では、タネがどこにあるかよくわかります。
CTでもこれと同じように体の輪切りの写真で癌などの病気がよく見え、わかるのです。
この装置では体の輪切り写真が得られ、小さな病変でも大きさや形状がよく見えるようになり、体の内部を詳しく知ることが出来るようになります。
当センターのCT装置はらせん式を採用しております。これは、デジタル画像で臓器や病巣の位置などが立体的に表現することが出来る画期的な検査方法といわれています。

CT検査の詳細

CT検査では、頭から足の先まで体全体を調べることが出来ます。
胸部CT検査では、肺がん、肺結核、気管支拡張症、気胸、胸部大動脈瘤、肺動静脈瘻、心臓疾患などの病変が、小さなものまで発見できます
特に腫瘍性病変などは、心臓の裏側の部分・腹部に近い横隔膜の裏側・その他の臓器などに重なり合わずに見えます。
このことにより、がんの早期発見より効果的な治療ができるようになり、治癒する確率が高くなりました。

CT検診を受けたいときは

当センターでは、茨城県北地区(日立市・北茨城市・高萩市・常陸太田市)の4市を対象に実施しております。
詳しくは各市町村の窓口までお問い合わせ下さい。

CT検診FAQ

Q1 肺がんは何人ぐらいみつかっていますか?
A1
当センターでは、平成13年度よりCT検診が始まり4年間が経過しました。平成13年度~平成16年度の実績は、のべ8,167名の方が受診され、その中で71名「肺がん」を発見しています。
平成13年度~平成16年度実績
【胸部CT検査 肺がん発見率】
受診者数
肺がん
発見数
発見率
男性 3,195名 25名 0.782%
女性 4,972名 46名 0.925%
全体 8,167名 71名 0.869%
【胸部X線検査との発見率の比較(当センター比)】
茨城県
胸部X線
発見率
当センター
胸部X線
発見率
胸部CT
発見率
発見比
男性 0.116% 0.782% 6.7倍
女性 0.039% 0.925% 23.7倍
全体 0.048% 0.063% 0.869% 13.8倍
(平成17年3月20日現在)
胸部X線と比べると平均で約13.8倍と高い発見率になっています。
正常 (最大径5mm)
Q2 肺がん以外にはどんな病気がみつかっていますか?
A2 胸部CT検診では、肺がん以外にも下のようないろいろな病気が見つかっています。胸部(肺・心臓)の病気はもちろん、腹部などでもいろいろな病気が見つかっています。

胸部(肺・心臓など)の主な症例
胸腺がん・活動性肺結核・肺気腫・肺嚢胞・前縦隔嚢腫・肺気腫性嚢胞・器質性肺炎・大動脈瘤・大動脈弁輪拡張症・軟骨腫・肉芽腫性肺疾患・過誤腫など
上記以外(腹部など)の主な症例
肝臓血管腫・肝内石灰化・多発性肝嚢胞・腎嚢胞・腎結石・胆のうポリープ・胆石・甲状腺腫瘍・腺腫様甲状腺腫・慢性甲状腺炎・肝硬変による脾臓腫大など
Q3 胸部X線検査と比べて何がちがうの?
A3 胸部X線検査に比べて、より小さな癌を発見することができます
当センターの胸部CT検診で発見された癌の中でもっとも小さなものは、最大径5mmでした。これは早期発見・早期治療につながります。
通常行われる肺がんの手術は、背中を大きく切り開く大手術で、社会復帰まで最低でも3ヶ月程度かかります。
ところがこの大きさですと、胸の数カ所に孔(あな)をあけ、そこへ胸腔鏡と鉗子を挿入して癌を摘出する方法が取られます。この手術なら体に対しての負担も小さく、1ヶ月程度で社会復帰が可能になります。
また、心臓や横隔膜などにかくれてしまって、胸部X線検査では見つけにくい場所の病気でも、CT検診では見つけることができます。
肺がんの発見率を、当センターでの胸部CT検診と胸部X腺検診とで比較したところ、男女平均で胸部CT検診は胸部X腺検診の約13.8倍と高いものでした。この数値はCT検診の精度の高さを示していると考えられます。
Q4 被曝線量はどの程度ありますか?
A4 各検診の一回あたりの被曝線量(部分被曝)を下に示します。

(単位:ミリシーベルト)
検診名 被曝線量
胸部CT検診 約 1
胸部レントゲン検診 約0.05
胃がんバリウム検診 約0.6
放射線によって起こる症状と線量を下に示します。
【急性放射線症の症状と線量】 【放射線による皮膚障害(部分被曝)】
(単位:ミリシーベルト) (単位:ミリシーベルト)
症状 しきい線量 症状 しきい線量
水晶体混濁 500~2000 初期一時的紅斑 2000
白内障 5000 一時的脱毛 3000
精巣  一時的不妊 150 主紅斑 6000
精巣  永久不妊 3500~6000 永久脱毛 7000
卵巣  永久不妊 2500~6000 皮膚壊死 18000
造血臓器(白血球の減少) 500
胎児 奇形発生 500
全身被曝(半数の人が死亡) 3000~5000
※このしきい線量は、吸収線量(グレイ)をX線線量当量(シーベルト)に直してあります。
以上のように、レントゲン検査では障害の起こる線量の数百分の一から数万分の一の線量しか使用しておりません。
検査による放射線の影響は小さく、放射線診断から受けているメリット(早期がんを発見できる利益)は、計り知れないものがあります。
なお、当センターでは被曝線量を最小限にするために日々努力しています。どうぞ安心して受診なさってください。

(参考文献) 日本医事新報社:放射線防護マニュアル、医療科学社:放射線防護Q&A、日本評論社:がんの放射線治療、財団法人日本原子力文化振興財団:人体と放射線・原子力と環境
Q5 精密検査の通知をもらったときは、どこの医療機関(病院)へ行けばよいのでしょう?
A5 胸部CT検診精密医療機関で受診することをお勧めいたします。
CT検診は精度の高い検査ではありますが、より詳しい検査を受けていただくためにご協力をいただいている医療機関です。
▶胸部CT検査が受けられる精密医療機関

喀痰検査

喀痰検査では、胸部X線検査で発見しにくい「がん」をみつけることができます。
喀痰検査の特徴
この検査では、肺門部や比較的太い気管支にできる早期の「がん」をみつけることができます。これらは胸部X線検査や症状から発見するのは困難です。
また、このようながんは、特にヘビースモーカーの方に起こりやすいといわれています。
検査の内容
1. お申込 専用容器をお持ち帰りいただきます。
2. 採取・提出 1日1回、3日間の早朝「たん」を採取の後、提出していただきます。
(量が少ない場合は5日間でも可)
3. 検査 たんの中に含まれる細胞をガラス板に塗り、染色して顕微鏡で観察します(細胞診検査)。
対象となる方
次のいずれかに該当する方
50歳以上で、喫煙指数(1日の本数×年数)600以上の方
(過去に吸っていた方も含まれます)
●6か月以内に血痰のあった方
 
▶茨城県の肺がん検診が受けられる精密医療機関
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